
上昇トレンドの継続中に一時的に下落する形を『上昇トレンドの押し目』といい、その瞬間を狙って『買う』戦略を紹介します。
もみ合いからの上放れ買い戦略と同様、基本的な戦略であり、どの株式チャートにも表れるパターンですので必ず押さえておきましょう。
上昇トレンド中の一時的な安値を捉える
『押し目』とは。一時的な下落局面のことを指します。
上昇トレンド中の押し目で買うというのがオーソドックスな基本戦略の一つです。
- 基本的な戦略記事一覧
『上昇トレンド中の押し目買い』戦略において確認する事項は2つあります。
- 株価が上昇トレンドであることを確認すること
- 押し目の目途を考えること
の2つです。
この2つの事項を確認するためには、移動平均線と呼ばれているテクニカル分析によく使われる指標が必要となります。
移動平均線はWEB上で閲覧できるほとんどの株式チャートで表示することができます。
移動平均線を表示させることで、その向きからトレンドが上昇か下降かを把握することができ、その線そのものが押し目買いの目途になります。

投資スタンスから移動平均線を選択する
移動平均線には、期間別に数種類ものが存在します。
どの移動平均線も『上昇トレンドの押し目買い』戦略をとる上では、参考になりうる指標になりますので、その中から自分の投資スタンスに合ったものを指標として判断すると良いでしょう。
基本的には、トレード(売買)する期間が短いほど短い移動平均線を、逆に投資期間の長い投資ほど期間の長い移動平均線を使います。
実務では株式チャートから、銘柄の相場トレンドや値動きを見て、どの移動平均線が有効かを見極めて選択することになります。
- 移動平均線のケースメソッド記事一覧
投資スタンス | 最適移動平均線 |
---|---|
デイトレード | 1~10分足の5本の移動平均線や25本の移動平均線 |
スイングトレード | 5日移動平均線、25日移動平均線 |
中期投資 | 13週移動平均線、26週移動平均線 |
長期投資 | 52週移動平均線、120ヵ月移動平均線 |
値動きが早い場合は、25日移動平均線、5日週移動平均線を活用する
相場が激しいときは、短期間で大きな利益を得るチャンスになります。
この場合はより期間の短い移動平均線を指標に活用していきましょう。
13週移動平均線のみを指標としていたらチャンスを逃してしまう


エムスリーは2020年の4月頃に『もみ合いからの上放れ』から高い上昇率で値上がりしていきました。
一度上昇すると早い上昇スピードに13週移動平均線や26週移動平均線での『押し目買い』ポイントを探ることできなかったのです。
そのため、『これまで13週移動平均線や26週移動平均線で様子を見ていたから、同じ指標で探っていた』という方は、トレンドにうまく乗れず、気付けばただ指をくわえてチャートを眺めるだけに終わってしまうという状況になっていたことでしょう。
この時エムスリーはメディカルプラットフォーム事業を中心に、1年間で時価総額3倍まで成長していました。
2020年3月期の決算から営業利益は前年比の1.5倍増だと発表されるが、コロナ禍で同社のサービスを今後においても需要増が伸びると考えた投資家たちによって、長期的な上昇トレンドを生み出しました。
事実エムスリーが手掛けるメディカルプラットフォーム事業の『m3.com』という、製薬会社が医師に対して、医薬品関連情報を提供するプラットフォームが、コロナの影響によって対面の抑制される政策の追い風となって利用者を増加させました。
もし『業績もよくPERも低く、政策的な追い風もあるから値上がりが期待できる』と判断できるのであれば、積極的に期間の短い移動平均線も合わせて確認しておきましょう。
エムスリーの株価チャートにおいては、この時既に13週移動平均線では押し目を捉えることができませんでした。
そこで、週足チャートから日足チャートに変更し25日移動平均線を使用すると1か所だけ押し目を確認できるのですが、それ以降捉えきれないほどの勢いで上昇していきます。
今度は5日移動平均線に切り替えることで、2か所の押し目買いポイントを発見することができます。
このように柔軟に移動平均線の期間を切り替え、上手く対応することで押し目買いポイントを捉え、チャンスを見逃さないようにしましょう。
ゆったりとした上昇トレンドには52週移動平均線で対応する
もし26週移動平均線を割り込んで買いポイントを探るなら52週移動平均線に切り変えましょう。

13週移動平均線を利用していた場合、仮にA地点の押し目に購入するとしましょう。
その後、一時的に上昇するも急落し26週移動平均線も割り込んだB地点の局面で判断が別れます。
一度売却し再び上昇トレンドに転じたところで買い直すという方法も一つの手でしょう。
一方でこの会社の成長性に魅力を感じているのであれば、もう少し保有したいと思うことあるはずです。
その時に参考になるが52週移動平均線です。
B地点において13週移動平均線、26週移動平均線は『トレンドが崩れたポイント』になりますが、52週移動平均線では『押し目買いポイント』として捉えることができます。
超優良株は120ヵ月移動平均線が押し目買いの目途となる
決して多いケースではないですが、10年20年という単位で上昇している超優良企業があります。
そういった類の銘柄は、一時大きく下がったところで買う場合に120ヵ月移動平均線が役に立ちます。
例えば、生理用品や紙おむつでお馴染みのユニ・チャームやユニクロで業績を伸ばしてきたファーストリテイリングがあります。
どちらも日本を代表する世界的な企業です。
長期的な上昇トレンドを描いている会社の株式については、長期の月足チャートをみて長期のトレンドを考えることが有効です。
その際に参考になるのが120ヵ月移動平均線となるわけです。
120ヵ月移動平均線が上向きであれば、特に長期トレンドであることを示し、押し目買いの目途にも活用することになります。


上記2社の株式チャートにある120ヵ月移動平均線が押し目買いポイントであると確認できるかと思います。
この時の週足チャートは完全に下降トレンドになっていたり、歴史的な○○ショック的な影響による下落が多いので、『この会社の株だったら長期的に見て息を吹き返すだろう』という株があれば、120ヵ月移動平均線を指標に押し目買いすると良いでしょう。
ここでのポイントをまとめよう
- 『上昇トレンド中の押し目買い』戦略において確認する事項は2つ
- 株価が上昇トレンドであることをかくにんすること
- 押し目の目途を考えること
- 移動平均線には数種類あるので投資スタンスや銘柄にあった指標を選択する
- 値動きが早ければ5日移動平均線、25日移動平均線を活用する
- 値動きが遅ければ52週移動平均線を視野に入れる
- 超優良企業は120ヵ月移動平均線で長期投資を考える
