
業績の良さや定性面の強さについて、『自分の企業理解度』が与える投資判断の影響を侮ってはいけません。
心理的要因が投資判断において結果的に『高いリターンを得る人』と『チャンスを逃す人』にわけます。
企業への理解度は『確信』に直接作用し、正しい投資判断を行う上で必要不可欠です。
目次
確信が揺らぐという心理的要因がチャンスを逃す
いくら業績が好調でいい企業だと確信ともって株を買ったとしても、その株価が想定していたより下がると、最初の確信が揺らいで結局売ってしまうということがあります。
当然ながら投資家は、将来的な上がりを期待して株を購入するわけですから、言ってしまえば株価が下がるというのは『想定外』というのが極論になります。
しかし、本当の意味で確信がある投資家は焦らず冷静に判断を下すことができますが、反対に確信のない人は『下がってしまうのが怖い』という不安状態に陥り、判断が鈍ることがあります。
判断を鈍らせる要因は決して『不安』や『恐怖』ではありません。
不安や恐怖の原因が真の要因であり、それは『確信』が持てないことにあります。
買った銘柄が下がってしまったら…
二ホンフラッシュの週足チャートを見てみましょう。

チャートから長らく横ばいが続いていたことを読み取れると思います。
2012年2月ごろから上昇トレンドで推移しているのですが、上がり始めの頃に買った人はしばらくの間上機嫌でいたと思います。
しかし、7月に入ると上昇はストップし、13週移動平均線を割り込んでしまいます。
- チャートの基本を学ぶ【基礎編】
移動平均線について基礎中の基礎が説明されています。
投資をかじったこともない、まったくの初学者の方はご活用ください。
13週移動平均線を割り込んでいるということは、『売りのサイン』を示唆している場合があるということです。
ただ、本当に下降トレンドに転換したかどうかはわかりません。
26週移動平均線を表示してみると、『上昇トレンド』が継続するかもしれないと読み取ることができるからです。
業績は好調でもチャートが危うくなってきた場合、あなたはどう判断しますか。
売りますか?保有し続けますか?
中長期の投資には、企業への理解度が欠かせない
確信を持てば、自信をもって判断を下すことができます。
問題は確信のもつためには、『何をすればいいのか』です。
答えは『企業への理解度』を高めることにあります。
二ホンフラッシュは、マンション向け内装ドアの国内トップで、中国事業が急成長していた時期でした。
建築・住宅業界の人ではない個人投資家にとって『マンションの内装なんて、誰にでもできるでしょ』『中国はちょっとな…』と、その強みがよく理解できていないかもしれません。
いくら好業績な企業でも、事業内容や独自の強みへの理解が低いと、売買の判断を迫られたときに気持ちが揺らぎやすいです。
企業への理解度が高い人は『業績は問題ない。保有し続ければ〇円までは上がるはず』と確信をもって保有するかと思います。
投資対象の質(確信)=会社の良し悪し×自分の企業理解度
よく『あの人が買っている銘柄を自分も買ってみた』という方がいます。
やめてください。
会社の良し悪しについては、ある程度客観的な判断が可能ですが、企業への理解度の差異が投資対象としての適切性に影響を与えます。
結果的に重要な場面で判断を下せない状況に陥ります。
投資の時間軸が短ければ、投資対象の質が及ぼす判断への影響は差ほどでないでしょう。
しかし、投資の時間軸が長くなればなるほど、業績の良さ、定性分析の強みはもちろん、それを自分がいかに理解しているかが重要です。
- 成長性=独自の強み×売り上げ拡大余地の方程式【基礎編】
- 経営者の質を見極める【基礎編】
『会社の良し悪し』を判断するために2つの記事を紹介します。
同時に『自分の企業理解度』を高めるための知識になるので、『投資対象の質』が上がります。 - 企業分析のための情報源を持とう
企業分析を行うためには、投資対象の候補に挙がることから始まります。
この記事では、投資対象を身の回りから探そうという発想に基づいた解説をしています。
企業への理解度を一定以上持っている投資先を候補に挙げるという観点からお勧めです。
ちなみに二ホンフラッシュの株価はこの後で持ち直し、900円台から3000円以上に大きく上昇しました。
チャート的な判断が難しい局面で『保有することが正解』というケースでは、企業の定性分析の知識と理解でいかに自信を持てるかどうかが『チャンスを逃した人』と『チャンスをモノにした人』の分かれ道になります。
ここでのポイントをまとめよう
- 確信が揺らぐとチャンスを逃すことがある
- 確信を持つためには、企業への理解度を深めることが必要
- 投資対象の質=会社の良し悪し×自分の企業理解度が確信を高める方程式