
配当や優待は大きな楽しみだが、そこだけに着目して株を買うと大きな失敗をしてしまうリスクがあります。配当はどこから支払われているのか、その仕組みを知っておきましょう。
優待につられて買ってはいけない
定期預金が0.1%以下という超低金利が続いている昨今、配当利回りの高い銘柄は非常に魅力的に感じられます。優待商品にも魅力的なものが多く、優待目当てで株を買いたくなってしまいます。しかし、配当や優待はあくまでも企業の利益から支払われていることを忘れてはいけません。なかには、財務状況がかなり危ういのに、株主数を維持することを目的に高額な株主優待を続けている企業もあります。
商品や金券を大量に送付する株主優待は、コストも莫大にかかります。余剰な配当や豪華すぎる優待の実施は、企業の利益を圧迫し、結果的に株価の下落につながることもあります。
さらに、配当利回りが4%や5%で高いからといって株を買っても、株価が1日でそれくらい下がることはよくあります。したがって、配当•優待狙いの投資をするうえでも、事業内容の安定感や好調な利推移、そしてPERで見た割安さなどを確認し、値下がりのリスクが低い銘柄を選ぶことが望ましいといえるでしよう。
利益剰余金で増配可能性を探る
配当の原資となるのは、企業が1年間に稼いだ利益(純利益)です。この利益のうち、配当として支払われなかったお金は「利益剰余金」として企業に貯えられることになります。この利益剰余金からも配当金を支払うことができます。
利益が大きく減少したり赤字になったりした企業でも配当金を支払うことがあるのは、利益剰余金を配当原資として使っているからです。
利益剰余金は会社四季報の「株式・財務・指標等・キャッシュフロ一」欄や、決算短信の貸借対照表に掲載されているのでチヱックしてみましょう。
もちろん、利益剰余金の額は多いほうが望ましいといえます。時価総額と同じくらい利益剰余金 が積み上がっているケースもあり、この場合はかなり配当余力が高いと予測できます。利益剰余金に着目すれば増配しそうな銘柄を見つけることができます。
企業の配当政策に注目
企業によっては、配当政策として具体的な数値目標を発表している場合もあります。その際の指標となるのが「配当性向」です。
配当性向とは、純利益のうちどれくらいの割合を配当に振り向けるかを示した数値で、「配当性向(%)=1株当たり配当金÷1株利益X100」で計算します。
多くの企業が連結ベースの配当性向を数値目標として掲げており、各社のIRサイトや決算短信で公表されています。たとえば日本ハム(2282)では、「連結配当性向30%を目安として、安定的かつ継続的な配当成長を目指す」としています。
配当性向の目標に従うとすれば、利益が少ない年は減配や配当ゼロにしなくてはならなくなります。それでも配当性向の目標値を示すということは、経営者の自信や覚悟の表れとも捉えることができます。
会社の株価を決定する方法
いわゆる株価は、基本的に買いたい人(需要)と売りたい人(供給)のバランスで決まります。言い換えれば、需要の「買い」が供給の「売り」よりも大きい場合、株価は上昇し、供給(売り)が需要(買い)を超える場合、株価は下落します。株価を動かす要因は、会社自体に関係するものと、株式市場全体に関係するものに分けられます。
- 株価を動かす要因
- 第一にその会社自体に関連するもの
例えば、事件、人気、ビジネスニュースなど。 - 株式市場全体に関連するもの
例えば、外国為替、政治、天候、金利、国際問題など。
- 第一にその会社自体に関連するもの
- 人気と株価
- 株価も人気次第です。英国の有名な経済学者であるケインズは、「株式への投資は美人コンテストのようなものです」と述べています。つまり、美人コンテストで誰が選ばれるかを推測するためには、自分が美しいと思う人ではなく、誰もが美しいと思う人を選ぶ必要があります。この考え方を株式投資に適用すると、株価は上がらないということは多くの人がいい会社だと考えないからです。
- 金利と株価
- 金利は、預金と負債に対する利息の比率です。金利も株価に大きな影響を与えます。一般的に、金利と株価はシーソーのような関係にあると言われています。株価は、金利が下がると上昇し、金利が上がると下がる傾向があります。金利水準は、現在の経済および国の政策によって調整されます。
- パフォーマンスと株価
- 株価を決定する最大の要因は、会社の売上高と利益を表す「パフォーマンス」です。赤字を続けて配当ができない企業の株を買う人が減るにつれ、株価も下落する。売上高や利益などの業績改善が見込まれる場合は、配当金の増加や株価の上昇が見込まれます。そのため、新製品がヒットしたりブームになったりすると、会社に気づかれ株価が上がることがよくあります。
- 外国為替と株価
- 円とドルを交換する際の価格を決定する為替レートの動きも株価に関係しています。日本円を外貨に両替する際に円の価値が上がることを円高と呼び、円の価値が下がることを円安と呼びます。
仮に車を1台あたり10,000ドルで輸出した会社の収入を前提に、1ドル= 100円から今まで、1ドル= 80円(円高)の場合を想定した場合、為替の変化によって受ける影響を数値にして表してみましょう。
1台1万ドル= 100万円。
1台1万ドル= 80万円で20万円の利益が減る。また、ドル建ての価格が上がると、車は売れなくなります。 →株価が下落するのは、業績が悪化するためです。
1ドル= 120円(円安)の場合。
1個1万ドル= 120万円で、20万円になります。 →株価は上がるのは、業績が上がればです。
逆に、円高すれば輸入会社は海外から安価に製品や原材料を輸入できるので株価が上がり利益になり、円安すれば儲からないので株価はダウンします。
しかし、円高、円安に関わらず、景気を混乱させ、株価を下落させて為替相場は急激に変動します。
- 円とドルを交換する際の価格を決定する為替レートの動きも株価に関係しています。日本円を外貨に両替する際に円の価値が上がることを円高と呼び、円の価値が下がることを円安と呼びます。
- 国際関係と株価
- 株価の歴史的な急落は、しばしば国際情勢の影響を受けます。近年、株式市場の国際化に伴い、外国人投資家の動きが日本の株式市場に大きな影響を与えています。
※「TOPIXは日本経済全体を知る手段」の株価の変化を観察します。
- 株価の歴史的な急落は、しばしば国際情勢の影響を受けます。近年、株式市場の国際化に伴い、外国人投資家の動きが日本の株式市場に大きな影響を与えています。
- 政治と株価
- 株式市場は、経済政策に関する首相と財務大臣の発言、議会選挙の投票結果、予算案にも注目する。これは、道路や橋の建設、増税、減税など、経済に影響を与えるさまざまな経済・財政政策を政府が決定しているためです。
- 自然災害、天候、株価
- 例えば、地震で大災害が発生した場合、被害を受けた企業の業績が悪化し、熱波が続くと、アイスクリーム、コールドドリンク、エアコンなどのメーカーの株価が上昇しやすくなります。