
中央銀行はお金の流れをコントロールすることで、経済活動が落ち込みすぎたり過熱しすぎたりしないように調整しています。
特にニュースに取り上げられる政策には株価にも影響を与えるので、概要を当記事で学んでいきましょう。
金融政策が相場に与える影響
お金は経済の血液のようなものです。
世の中のお金のめぐりが良いと経済は活気にあふれ、お金の巡りが悪いと経済の活気は落ち込みます。
金融政策は世の中のお金のめぐる量を適度に調整する政策と言えます。
日本なら日銀、アメリカならFRB、欧州ならECB、中国なら中国人民銀行といったその国の中央銀行が主役となり金融政策を行います。
金融政策の方向は主に次の2種類あります。
- 金融緩和政策→お金の量を増やす→景気を良くする
- 金融引き締め政策→お金の量を減らす→景気の過熱を防ぐ
経済を活性化させたいときは金融緩和政策をおこない、景気が過熱気味になると金融引き締めを行います。
日本銀行金融政策運営の基本方針は、毎月1~2回開かれる『金融政策決定会合』で決まり、その内容はニュースで伝えられます。
基本的には『金融緩和政策』が実施されると株価は『上昇』し、金融引き締め政策の場合は下落する傾向にあります。
金融政策の手段
金融政策の手法にはいくつかありますが、基本的には短期金利の上げ下げによって行われます。
- 利下げをする→お金が借りやすくなる→お金の循環が良くなる
- 利上げをする→お金が借りづらくなる→お金の循環が悪くなる
短期金利が下がれば、金融機関の貸出金利も下がるので、企業がお金を借りやすくなり、生産や設備投資が増え、また家庭でも買い入れや出費が増えます。
お金が沢山出回ることで、経済は活性化されるわけです。

お金の流れ、日本銀行が市中の銀行にお金を供給し(マネタリーベース)、そのお金を銀行が何倍かに膨らまして市中に供給する(マネーストック)という形になります。
マネタリーベースとマネーストックの用語解説
マネタリーベースとは、中央銀行(日本なら日本銀行)が世の中に直接的に供給するお金のことです。
マネーストックとは、金融部門(銀行)から経済全体に供給されている通貨の総量を言います。
国内にお金を供給するために日本銀行は銀行から国債を大量に買って、その代金を支払うことでマネタリーベースを増やすという操作を行っています。
そうすることで、マネーストックを増やして、世の中全体のお金の巡りを良くして景気を良くしようとしています。
実際には、マネタリーベースが増えてもマネーストックがあまり増えないケースもあります。
しかし、いずれにせよこのような大胆な金融政策や異例の金融政策がとられると、株価は上昇するケースが多いようです。
注意が必要なのは、実体経済がそれほど回復しないまま株価だけ大きく上昇してしまう事象が起こった場合、株価上昇の持続性はなく、その後の株価は一気に下落してしまうというケースがあります。
日本において1986年から1991年の5年間に起こったバブル期が代表的な例に挙がります。
その後日本は『失われた20年』と言われる、20年以上に及ぶ経済の低迷が続きました。
ここでのポイントをまとめよう
- 金融政策で相場は大きく動く
- 金融緩和政策→お金を増やして景気を活性化。
- 金融引き締め策→お金を減らして過熱を防ぐ。
- 金融政策の手段
- 利下げ→お金の循環を良くする。
- 利上げ→お金の循環が悪くなる。
- マネタリーベースを増やすために中央銀行は民間銀行から国債を大量に買い、マネーストックが増えるので、民間銀行はそのお金を国内に供給する。