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東京証券取引所の新たな市場区分基準を解説

2021年10月6日

東京証券取引所において2022年4月に、4市場(東証1部、東証2部、ジャスダック、マザーズ)を廃止し、新たに3市場(プライム、スタンダード、グロース)を開設することを決定しました。

企業の質向上と、国際投資マネーの流入を狙いとしています。

この記事では、東証の市場区分体制についての基準と目的を解説していきます。

新たな市場区分は定量的かつ定性的な尺度を反映している

実は日本のコーポレートガバナンス事情は歴史的に見て、お世辞にも誇れるような体制ではありません。

日本を代表する東芝の不正会計やオリンパス不正会計事件は世界に衝撃を与えました。

不正会計が起こる原因の多くは経営者層が関与しているものです。

当然、不正が続くと世界から日本企業に対するイメージは良くはないということは容易に想像がつくと思います。

そこで東証は4つの既存の市場を廃止し、新たな市場の開設にあたって各区分にコンセプトとなる定量的でかつ定性的な尺度を設けることにしました。

新たな基準は企業体制の強化はもちろん、株式市場の流動性をスムーズにしようと意図したものになっています。

コンセプトは大まかに『流動性』『ガバナンス』『経営成績・財政状態』を分類し、それぞれに定量的でかつ定性的な尺度を設けています。
グロース市場については、『事業計画』『流動性』『ガバナンス』をコンセプトにしています。

  • 流動性の内容
    プライム市場について→多種多様の機関投資家逹が投資の対象となるような規模を持つ時価総額
    スタンダード市場について→市場に公開済みを投資の検討対象として一定額の時価総額
    グロース市場について→必要最低限の流動性を基本的に築いている銘柄
  • ガバナンスの内容
    プライム市場について→高水準ガバナンスを築き、投資家との間の積極的なコミュニケーションを中心に備えて継続的な成長と中期又は長期的な期間の企業価値の向上の実現する企業
    スタンダード市場について→基礎的なガバナンス水準を築き、継続的な成長と中期又は長期的な期間の企業価値の向上を実現しうる企業
    グロース市場について→事業実績を考慮した比較的に高リスクの企業
  • 経営成績・財政状態の内容
    プライム市場について→安定してして優秀な収益基盤があり、適切で正しい財政状態
    スタンダード市場について→安定していて優秀な収益基盤があり、適切で正しい財政状態(プライム市場と同じ)
  • 事業計画の内容
    グロース市場について→高い成長の可能性を果たすための事業計画とその進捗度の適時で適切な開示が行われ、ある程度の以上の市場評価が得られるもの

定量的な基準は経済社会への影響力を反映している

プライム市場においては7項目、スタンダード市場では6項目、グロース市場では5項目に『新規上場』『上場維持』のそれぞれに異なる基準を設けています。

項目新規上場基準上場維持基準
株主数800人以上800人以上
流通数20,000単位以上20,000単位以上
流通株式時価総額100億円以上100億円以上
売買代金時価総額250円以上1日平均売買代金0.2億円以上
流通株式比率35%以上35%以上
収益基盤最近2年間の利益合計が
25億円以上
売上高100億円以上
かつ、時価総額1,000円以上
財政状態純資産50億円以上純資産50億円以上
プライム市場の定量的な基準
項目新規上場基準上場維持基準
株主数400人以上400人以上
流通株式数2,000単位以上2,000単位以上
流通株式時価総額10億円以上10億円以上
流通株式比率25%以上25%以上
収益の基盤最近1年間の利益が1億円以上最近1年間の利益が1億円以上
財政の状態純資産額が正である純資産額が正である
スタンダード市場の定量的な基準
項目新規上場基準上場維持基準
時価総額ー上場から10年経過後、40億円以上
株主数150人以上150人以上
流通株式数1,000単位以上1,000単位以上
流通株式時価総額5億円以上5億円以上
流通株式比率25%以上25%以上
部ロース市場の定量的な基準

定性的な基準はコンセプトに合っているかで判断される

  • プライム市場
    流動性:幅広い機関投資家が不要な不安を抱えずに投資対象して検討しうる数多な流動性の基盤を築いている銘柄であること
    カバナンス:上場企業と機関投資家の間で建設的なコミュニケーションの実効性を保証する基盤のある銘柄を選定する
    ※コーポレートカバナンスコードの全原則の適用
    経営成績・財政状態:安定していて優秀な収益基盤があり、適切で正しい財政状態
  • スタンダード市場
    流動性:一般的投資者(個人投資以下を含む)がスムーズな売買を促進する適切で必要な流動性の基盤を築いている銘柄
    カバナンス:継続的な成長と中期又は長期的な期間の企業価値向上を実現するための必要で基礎的となるガバナンス尺度にある銘柄
    ※コーポレートカバナンスコードの全原則の適用
    経営成績・財政状態:安定していて優秀な収益基盤があり、適切で正しい財政状態グロース市場
    事業計画:成長可能性を高い尺度で実現するために必要な事業計画を有し、投資者の適切な投資判断が可能な銘柄を選定
    流動性:一般投資者の投資対象となりうる最低限の流動の基盤を備えている
    ガバナンス:事業規模や成長フェーズを考慮した適切なガバナンス尺度
    ※コーポレートガバナンスコードの基本原則のみを適用

新たな市場の目的

プライム上場企業は海外市場と遜色のない基準を企業に求めることで、海外投資家に投資しやすくすることを目的としています。

スタンダード市場においては中堅企業向けを想定しており、グロース市場は新興企業向けの区分となる。

従来の市場区分である東証1部には基準が不明確だったため約2,200社と東証全体の約6割を占めていました。

この中には時価総額が小さく業績が低迷している企業も少なくなかったので、基準の明確を行い、企業に経営の努力を促す目的があります。

流動性を高めるための施策

新たな市場区分の中で最も厳しいプライム市場を例にとると、プライム市場の上場企業であるための基準でポイントになるのは3つになります。

流通時価総額100億円以上と流通株式比率35%以上、独立社外取締役3分の1以上(コーポレートガバナンス)という点です。

流通株式に関する基準は、政策保有目的の株式の割合を減らさなければなりません。

政策保有目的株式の割合が高いということは『身内をYESマンで固めている』のにほかならないです。

少数派の意見は無視されるといった状態を解消することで、投資家とのやり取りを促進し企業価値を向上させる意思(怠惰にならないために)があるかどうかを問うようにしましょうという内容です。

社外取締役は、取締役会の実効性を高める狙いで採用されますが、従来よりも厳しい要件が課されます。

取締役会も初めはみんな初対面でも時間が経つと自然と仲良くなります。

そうなれば当然、望ましくない妥協や最悪馴れ合いの果ての不正につながります。

株主総会を開いても、取締役会で口裏合わされていたら見抜きようもありません。

そこで独立性のある取締役を配置することで第三者の目を取り入れることができ(いわば監視役)、体制を強化しよう内容になります。

プライム市場の尺度ポイントが『流通時価総額100億円以上』『流通株式比率35%以上』『独立社外取締役3分の1以上』であると述べましたが、では現状これに当てはまる企業はいくつあるのでしょうか。

QUICKの調査結果によると、東証一部に上場する約2,200社と東証二部に上場している約500社の計2,700社のうち、プライム市場の尺度をクリアできる企業は約900社になります。

かなり基準が厳しいのかと思われがちですが実はそうでもないです。

そもそもプライム市場は海外投資家を狙っていますが、独立社外取締役の基準を一つとっても、米国や欧州では独立社外取締役比率が半数以上の企業はとても多いです。

それに比べても3分の1を要件としているプライム市場は、『国際競争社会において必要最低限の尺度』であると言えるでしょう。

ESGの開示強化で海外投資家を呼び込む

グローバルスタンダードになるであろうESG指標のうち、Gは『ガバナンス』を指します。

ガバナンスの強化がESG指標に貢献するため、海外の投資家のみならず評価機関との対話も期待できます。

海外からの呼び込みは、日本の上場企業における時価総額の向上を見込めるため、今まで以上に投資規模が大きくなると想定できます。

投資規模の大きさは株式投資で得られるリターンにも直結するので、海外投資家と日本企業のコミュニケーションの促進による海外資金の流入は、日本企業をメインに投資する投資家にとって恩恵を受けることもあります。

ここでのポイントをまとめよう

  • 東証はプライム市場とスタンダード市場、と合わせてグロース市場に区分を再編成する
  • 目的は株式の流動性とガバナンスの強化
  • 株式会社と投資家との対話を促進
  • プライム市場の尺度にクリアできる企業は絞られる
  • ESG指標である開示制度による影響を受けて海外投資家との対話が促進される

近年先進国としても遅れをとっている日本ですが、新たな区分により海外からの資金調達をより実行しやすくするために期待したい制度ですね。

多額の資金調達はスタートアップ企業も含め多くの企業で必要となり、また投資家にとっても投資先を見つけるための手段や、投資先を検討するという意味でもガバナンスや財務諸表等が適切に記載されていることが求められ、それらが担保されるという意味で見守っていきたい。

Filed Under: 株式投資に関するコラム特集

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投資歴:10年以上
みずほ証券に35年以上勤める師から投資を学ぶ
職業柄インサイダー取引に抵触する恐れがあるので、投資は限定的ですが、運用利益率は30%程あります。

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