
『遠くのものは避けよ』という投資の格言があります。
良く知らない企業より、身近な企業に投資対象とした方が上手くいくものです。
投資に限らず仕事や恋愛、車といった大きな買い物も様々な状況や場面では、まず『知る』ところから始まるはずです。
普段から身近な企業を投資対象として意識することで、投資の観点から『知る』ことができ、後に大化け株と言われるような企業を発見するチャンスを得る可能性が高まります。
2種類のファンダメンタルズ分析
アメリカでは2020年10月時点のニューヨーク証券取引所には2,873社、ナスダック市場には2,847社あり、2020年12月時点の中国上場企業は4,100社あります。
アメリカを代表する上場企業には、Google、Amazon、Facebook、Appleがあります。
中国を代表する企業は、アリババ(阿里巴巴)、テンセント(騰訊)、Lenovo、Huaweiがよく知られています。
日本はというと、2021年1月時点で上場している企業は3,860社あり、トヨタ自動車、ソフトバンクホールディングス、Sonyが有名です。
投資先をどこかの国に絞っただけでも数千社あるので、『どこに投資するべきか』と迷われてしまいますよね。
その答えの一つは『定量分析』であり、四季報などにある財務数値をチェックすることで投資先を見つけることができます。
もう一つの答えは『定性分析』でり、単純に企業を数値で表すことはできない企業の強みや魅力、ブランド力、成長力を調べる手法です。
数値で表せない分、その企業に対する解釈は人によって違うでしょう。
しかし、結果としてそれが株価に反映されます。
定性分析を行う第一歩は、日常生活の中にあるヒントを探ることです。
世界的投資家も、日常の中から銘柄を探していた
米国の著名な投資家であるウォーレン・バフェット氏は『自分が事業の内容をよく理解できる企業だけに投資する』という投資基準を持っています。
そういった企業の中から、長期的な成長が期待でき、かつ割安な株価水準にある銘柄を厳選し、少ない銘柄に集中的に投資する戦略で成功を収めました。
ウォーレン・バフェット氏が投資している銘柄で知られているのは、コカ・コーラやマクドナルド、アメリカン・エクスプレス、ウォルト・ディズニー、ジレットなど、一般の人にも馴染みやすいものばかりです。
人には自分に合った投資スタンスがあるのでバフェット氏を真似しても同じ成功を収められるとは限りませんが、身近な企業の中から大化け株を探すというスタンスはとても参考になります。
例えば、日常の中で『あのチェーン店、最近いろんな所に出店していて、よく見かけるようになったな』とか、『あのブランド最近、街中でも見かけるようになった』と感じるようなことがあります。
普段の生活の中で日頃からアンテナを張っておき、気になる企業があったら『会社四季報』や企業のホームページなどで業績や業務内容をチェックする、という習慣をつけておきましょう。
馴染みのあるチェーン店も初めは埋もれていた銘柄
日本の眼鏡店で有名な『JINS』を展開しているジェイアイエヌは、2006年に上場したものの、何年にも渡って株価が低迷し続けていました。
ところが、店舗数が100店舗を超えたあたりから、新商品のヒットとも合わせて、徐々に注目され始めます。
そして、2012年から株価は急上昇することになりました。

株価が低迷していた時期でも、店舗数が増え、売り上げや利益もおおむね好調で、当時はよくメディアにも取り上げられていました。
2010年頃日本にいた方であれば、『最近このお店増えてきたな』とか、『眼鏡が安いのに種類が豊富』と思った人も少なくないはずです。
このタイミングで将来性に気づいた人は、その後5倍以上に成長する大化け株を発見することができたのです。
ここでのポイントをまとめよう
- ファンダメンタルズ分析には、財務数値といった『定量分析』と企業の強み等の『定性分析』がある。
- 数字で表しにくい『定性分析』は日常生活の中からヒントを得ることができる
- 普段の生活の中の変化や流行に敏感になることで大化け株を探すことができる。