
成長性が高い分野を事業としている会社が、メディアなどで取り上げられ広く知られると、銘柄としても期待が寄せられ結果、PERが高めになるというケースも少なくはないです。
高PERが継続する成長株への投資が『買いか』どうかを考えるときの判断基準を事例から探っていきます。
- PERとは何か、標準的水準は何%?【基礎編】
PERの基礎的な内容は上記の記事で解説しています。
基本的な内容を押さえてから当記事をお読みいただくと学習効率が高まります。
高PERを維持しながら、利益成長によって株価が大きく伸びるパターン
アパレル中心のインターネットショップZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイを事例にして見ていきます。
2009年3月に発刊された会社四季報に掲載されている同社のデータを見ると、売上高や経常利益が大きく伸びていることがわかります。

ネット通販でファッション関連を購入するライフスタイルは当時珍しく、衣服のネット通販は試着できないので成功は難しいとされていました。
しかし、同社は人気の高いファッションブランドの取り扱いを増やし、サイトのカッコ良さや、使い勝手の良さからファッション好きの若者たちの支持を集めて急成長していきました。
当時は新奇性や独自性に加え、ファッション市場の大きさなどの潜在的な成長力が期待できる状況だったことを鑑みて、PERの来期予測ベースは17倍と高く想定されていました。
それでも同社の株価は2年間で10倍程の上昇となりました。
要因は、銘柄の株価が割高であったこと以上に、利益が爆発的にいていたことにあります。

このように成長性が高いと思われる銘柄は、将来の利益拡大を見込んでPERが高く評価されてしまう傾向があります。
そして、PERが高いまま利益成長によって株価が大きく伸びるケースも多いです。
PERの基準を高く設定して割安と判断する
年率30%を超えるような成長が3年以上続くと考えられる成長株は、PER20倍くらいまでなら割安と判断してよいでしょう。
このときのスタートトゥデイは、30%程度かそれ以上の成長を続け、今後も高成長が続きそうな状況であり、なおかつPERは20倍以内だったので、『割安な高成長株』と考えてよい状況であったと分析できます。
まとめてみよう
- 高PER銘柄でも成長性銘柄の株価は上昇し続けるケースがある。
- 利益増加が年率30%で3年連続見込めるようならPERの基準は20倍以内を割安と考える。
スタートトゥデイを事例にしたPERの捉え方について解説しましたが、近年20倍を超えるPERであるにも関わらず、そのまま株価が上昇し続けるケースもあるので、あくまで一例であることを念頭に置いて成長株への投資選定をしていきましょう。
成長株から転落する高PER銘柄の危険性【3858】ユビキタス
また上記の記事で高PER銘柄のリスクを紹介している内容に含まれますが、高PER銘柄が期待通りの利益が得られなかった場合の株価の下落幅はとても大きいです。
リスクも考えながら成長株の投資選定をしていくのであれば、PER20倍程度が一つの基準として考えることができます。