
移動平均乖離率は、短期的な株価の変動に対して、過熱感を捉えるために使用する指標として有効です。
短期的な株価の上げ過ぎ感、下げ過ぎ感を探るために使われる指標としてRSIがあります。
移動平均線を基準に考える移動平均乖離率は、やや複雑なテクニカル分析を必要とするため【応用編】として取り扱っています。
ただ短期的な株価の習性を捉える代表的な指標なので、しっかり学んでいきましょう。
短期的な過熱感は、反転ポイントになりうる
移動平均乖離率とは、『移動平均線から何%離れているか』という率のことです。
下の図は、ANAホールディングスの日足チャートで、25日移動平均線と乖離率を表記しました。
ANAホールディングスの場合は乖離率10%くらいのところまで来ると、株価は一旦ピークであったということが読み取れます。
ただ銘柄やその時々によって乖離率による判断は変化していくため、その見極めが必要になることから人によって上線と下線の個所が変わるでしょう。
図の乖離率に表記されている太線は、執筆者が独自の判断で引いたものです。
RSIのように80%と20%という明確な指針がないため、銘柄によっては乖離率15%が基準になる場合もあります。
このケースであれば『25日移動平均線にくっついたら買い、乖離率10%になったら売る』という投資戦略が考えられます。
買いを入れるタイミングを『乖離率-7.5%』に設定することも考えられるのですが、実際下降トレンドに入った場合、どこまで下がり続けるのかを正確に判断することはできないため、上昇に転じた『順張り』戦略を取ることをお勧めします。

目途にした乖離率が飛び抜ける動き
乖離率の使い方は単純にいかないケースもあります。
セイコーホールディングスの日足チャートに例にみていきましょう。
下の図にある移動平均乖離率10%は過去の上値となるであろう水準を目途に設定しています。
最初の4か所までは株価のピークになる動きをしていましたが、5か所目の地点では過熱感を示しているにも関わらず上昇し続けていきました。
それまでに指標にしていた乖離率を大きく上回って、『天井サインだから』と忠実になっているとチャンスを逃してしまわないよう株価が上昇してきた要因に注意しながら、『移動平均乖離率』を使っていきましょう。

この記事のポイントをまとめよう
- 移動平均乖離率は過熱感を察知する指標になる。
- 株価上昇の要因によっては乖離率を大きく上回るケースが存在する。
- 指標に忠実になり過ぎないように、ファンダメンタルズ分析と合わせて使うようにしよう。
