
一目均衡表は5本の線を使う複雑なチャートが、そこから読み取れる情報は多く、使いこなせれば判断材料集めとしてとても便利な指標になります。
様々な指標を比較せずとも一目均衡表のみをシュミレートしたチャートで判断したほうが確度や時間効率が良いため、プロの投資家でも好んで参考とすることが多いです。また相場の大きなトレンドを把握することができることから、個人投資家の間で人気が高まっています。
読み解くには慣れとが必要になりますが、会得して損することはないでしょう。
目次
基本は5本の線を知ること
一目均衡表とは、『相場の需給の均衡を一目瞭然にビジュアル化したチャート』という意味であり、5本の線とローソク足で成り立っています。
意義を知って、ピンとくる人は少ないでしょう。
相場の需要の均衡とは、株価のことを指します。
株価は、常に価格が変動する(一部を除く)ものですが、それは買いたい人と売りたい人が絶え間なく取引をしているため起こる現象です。
そのため需要(買いたい人)と供給(売りたい人)によって株取引が日々行われている中で、一定期間毎に区切ったものを分かりやすく図表にしているのが特徴です。
5本の線を下の図表にまとめました。
転換線 | 過去9日間の高値と安値の中間値を結んだ線 | |||
基準線 | 過去26日の高値と安値の中間値を結んだ線 | |||
先行スパン1 | 転換線と基準線の中間値を結んだ線を26日先にずらしたもの | |||
先行スパン2 | 過去52日間の高値と安値の中間値の線を26日先にずらしたもの | |||
遅行スパン | 本日の終値を26日前にずらした点を結んだ線 |
転換線と基準線は移動平均線に似ている線です。
基準線の向きが株価のトレンドを示し、押し目買いの目途になります。
転換線は、基準線との位置関係でトレンドを示し、基準線より上なら上昇トレンド、下なら下降トレンドを表します。
少し話を戻しましょう。
私はこの指標の特徴として「一定期間毎に区切ったもの」として挙げました。
図表を見てお気づきになったことかと思いますが、それぞれの線の平均とする基準の期間が異なるのが大きなポイントです。
また比較的中期の期間を基準にしているため、トレンドを読み取ることも可能になります。
特徴的な雲が示す情報とは
一目均衡表には『雲』と呼ばれる網掛け部分があります。
後半に事例を紹介していますので、後ほどご確認ください。
これは先行スパン1と先行スパン2の2本線で囲まれた部分が『雲』と呼ばれ、『株価の値動きの抵抗帯』としての意味を持ちます。
株価が雲の上にあれば上昇トレンドで、雲自体が押し目買いの目途になります。
つまり雲の中で株価が上下している限り、この指標にとっては判断が分かれることになります。
逆に言うとこの性質を利用することで、株価の急な動きに対して買いを入れるべきか、このタイミングで利益を確定するべきかという判断がしやすくなります、
遅行スパンで、トレンドを把握する
ただし雲のみでは正確に判断できません。
時々によって大きさも違えばトレンドを把握するのも難しいでしょう。
この時の助けになるのが遅延スパンです。これはトレンドを把握するために利用されています。
一般的に現在の株価が遅行スパンよりも高ければ上昇トレンド、低ければ下降トレンドということになります。
遅行スパンは株価と同時に動くものなので、その時々でトレンドを確認しましょう。
また遅延スパンのみでトレンドを判断しないことに注意してください。
そのために複数の指標を統合しているので、効果的に活用していきましょう。
一目均衡表が示す4つのサイン
一目均衡表にはトレンドを判断するためのポイントを4つにまとめることができます。
- 基準線の向き
- 基準線の転換線に対する位置
- 雲に対する株価の位置
- 遅行スパンの位置
それぞれの位置とトレンドの把握を図表にまとめました。
上昇トレンドサイン | 下降トレンドサイン | |
---|---|---|
基準線の向き | 上 | 下 |
転換線が基準線の | 上 | 下 |
株価が雲より | 上 | 下 |
遅行スパンが株価より | 上 | 下 |
現実的にはこの4つの指標が一斉に傾くケースは限られているのでしょう。
そのため必要なのは、やはりファンダメンタルズ分析と合わせて動向を見極めていくことが必要になります。
この指標に限った話ではありませんが、当該指標もあくまで数ある指標の一つでしかありません。
仮にすべての指標において上昇トレンドを指している場合でも、それが結果的に高値であったり、反対に下降トレンドを示している場合でも割安であるとは言い切れないということです。
KDDIを実例に見てみよう
使い方の1つをレクチャーします。

aポイントでは雲に支えられ反転し、上昇トレンドの流れが継続していることがわかります。
しかし、上昇トレンドはb地点で雲を割り込んだところで下降トレンドに転換したと同時に、転換線(青色線)が基準線(赤色線)を割り込んだことで、下降転換は決定的なものとなっていきます。
その後の展開では株価が雲の上を突き抜け、転換線が基準線の上にくるように入れ替わると上昇トレンドになっていくことが確認できれば、理解できていると思います。
ワンポイントアドバイス
雲の中でもみ合っている間は、トレンドの入れ替わりを示しているとは限りません。
チャート後半の上昇トレンドの中で、先行スパン2まで株価が下がりましたが、持ち直して大きく上昇しています。
また、転換線と基準線の入れ替わりが一時的な局面もあるので、指標全体を確認しながら投資判断を行っていきましょう。
この記事でのポイントをまとめよう
- 一目均衡表は5本の線とローソク足で構成されている。
- 転換線の向き、基準線の転換線に対する位置、雲に対する株価の位置、遅行スパンの位置でトレンドを知ることができる。
- 複合的な指標のため、確度が高く指標としての参考の比較的高い比重を置くことができる。
- サインはそれぞれ違う方向に指すケースが多いのでファンダメンタルズ分析も怠らずに合わせて投資判断を行う。
複雑な指標のため、理解するのに時間を要すると思います。
時々振り返ったり、他の参考文献を読んで理解を深めるのもよいでしょう。